CBDVとは
CBDVの基本情報
CBDV:カンナビジバリン(Cannabidivarine)は1969年初めに発見されたカンナビノイドです。CBDVの主に期待されている効果はCBDと同様であるとされ、大麻植物に見られるすべての主要なカンナビノイドの前駆体であるCBGA(カンナビゲロール酸)の誘導体です。
しかしCBDVは最近まであまり研究が進んでいませんでした。その理由としてCBDVは大麻草に1%以上の濃度で含まれることがほぼないため、医学研究に使えるほどCBDVを大量に調達するのが難しいためとされています。
CBD(カンナビジバリン)はCBDと同じように大麻とヘンプ植物の諜報に見られる天然にも存在するカンナビノイドです。しかしCBDVはTHCやCBDなど他のカンナビノイドよりも低濃度で見られるため、調達が難しい原因とされています。
こうした背景はCBT:カンナビノトリオール(Cannabitriol)などのレアカンナビノイドに共通して言えることでもあります。
CBDVはCBDよりも側鎖が短いとされていて、構造内の炭素原子が少ないことが特徴とされています。
CBDVの特徴
CBDVの特徴
CBDV (カンナビジバリン)は、CBDよりも側鎖が短いとされ、構造内の炭素原子が少ないことが特徴です。
CBDVには炭素が3つありますが、CBDやCBC,THCなどの従来のカンナビノイドには炭素が5つあります。この側鎖の炭素数は非常に重要とされていて、様々なカンナビノイド受容体に対して結合親和性に影響を与えます。この違いが人体への影響の違いに関係していると考えられています。
CBDVの効果
CBDVは、慢性的な痛みの緩和、不安の軽減、睡眠の改善、筋肉の弛緩などに役立つと報告されています。
CBDV (カンナビジバリン)はCBDと同じようにECS(エンドカンナビノイドシステム)と相互作用します。
しかし、効力に関してはCBDの25%程度と考えられています。
CBDVやCBDはTHCとは異なり、ECS(エンドカンナビノイドシステム)を直接刺激したり抑制することはないと報告されています。代わりに調節作用を持っているとされ、身体内部の条件に応じてカンナビノイド受容体の感度を増加させたり減少させることができるとされています。
またCBDVは、DAGLɑ(ジアシルグリセロールリパーゼ)という酵素を阻害することが報告されています。
DAGLɑは、その前駆体であるジアシルグリセロールからエンドカンナビノイドの2-AGを合成する主要な酵素です。
エンドカンナビノイドシステム(ECS)とは?体と心の健康に重要な働きを持つ生体システムを解説
てんかんに対する有用性
CBDVは偏頭痛や神経障害性疼痛、てんかんなどに対してCBDよりもさらに優れた効果を発揮すると期待されています。それはTRPチャネルが関係しており、CBDなどは本来ECSの影響が強いと考えられていますが、CBDVはTRPチャネルへの影響が強うことが研究によって報告されています。
そのため偏頭痛や神経障害性疼痛、てんかんなどTRPの機能障害に起因すると考えらている症状に対して優れた効果を発揮することができると言われています。
CBDVはCBDやTHC、CBG、CBC、CBNなどの他のカンナビノイドよりもTRPチャネルに大きな影響を与えますが、THCVよりも作用は弱いということが報告されています。
吐き気
CBDVはTHCVとともにラットの毒素誘発性の吐き気を防いだとされています。
吐き気の反応には、ECS(エンドカンナビノイドシステム)が深くかかわっているとされており、ECSがブロックされることによって、人は吐き気を感じ取ります。反面ECSが刺激されることで吐き気の症状は緩和されます。
出典:Evaluation of the potential of the phytocannabinoids, cannabidivarin (CBDV) and Δ(9) -tetrahydrocannabivarin (THCV), to produce CB1 receptor inverse agonism symptoms of nausea in rats
Effects of Rimonabant on Metabolic Risk Factors in Overweight Patients with Dyslipidemia
自閉症スペクトラム障害
CBDVは、自閉症スペクトラム障害に対し付随する健康状態の多くを緩和するのに役立つというエビデンスがあります。
CBDVは、興奮性神経伝達物質のグルタミン酸と抑制性神経伝達物質のGABAのバランスを変化させることにより、自閉症スペクトラム障害と診断された患者の急性不安を軽減できることを発見しました。
レット症候群
レット症候群は世界でも発症者が少なく、治療が困難と言われている遺伝性疾患です。
マウスを用いた研究によると、実験的なレット症候群モデルにおいて、CBDVがすべての要素にベネフィットをもたらすことが実証されました。
CBDVは社交性の欠如や協調運動障害を改善し、患児のマウスの脳重量を正常化したと報告されています。
デュシェンヌ型筋ジストロフィー
イタリアの国立研究評議会が発表した研究で、デュシェンヌ型筋ジストロフィー治療剤の3つの根本的な原因に対するCBD、CBDV、THCVの効果が発表されました。
この研究ではCBDおよびCBDVは、主にTRPV1活性化(急速な脱感作を受ける効果)を介して[Ca 2+ ] i を増加させることにより、マウスC2C12筋芽細胞の筋管への分化を促進させることによって、筋幹細胞の機能や筋組織内の持続的な炎症を回復し、欠陥のあるオートファジーを減衰できるという結果でした。
これらの結果をもたらすには、CBDやCBDVを一貫して高用量摂取する必要があるとされています。
出典:Effects of non-euphoric plant cannabinoids on muscle quality and performance of dystrophic mdx mice
CBDVとCBDの違い
炭素原子の数
構造的に、CBDとCBDVはほぼ同じ構造だとされています。
唯一の違いは、側鎖の1つに含まれる炭素原子の数であり、CBDはペンチル基を持ち、これはこの鎖の中に5つの炭素があることを意味します。CBDVはプロピル基を持ち、これは炭素数が3つしかないことを意味します。
炭素原子が2つ違うことで、これらの化合物が人体に対する相互作用の方法は大きく変わります。受容体への結合や効果効能、代謝に至るまでのすべてが変化するとされています。
一般的に、CBDは全身の痛みや炎症に対してより強力なカンナビノイドで、発作や強迫性障害の緩和にも効果的であることが証明されています。
それに対してCBDVが優れているのは、TRPチャネルと相互作用する能力です。
このため、CBDVは、神経障害性疼痛、筋ジストロフィー、自閉症スペクトラム障害などの疾患に対してより効果的となる可能性があるとされています。
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