CBNとは
CBNとは?CBDより貴重なCBNの正体
CBN
CBNとは、『Cannabinol(カンナビノール)』の略称で、麻(大麻草)に含まれる現在発見されている少なくとも110種類以上のカンナビノイド(麻に含まれる化学物質の総称)のうちの一つです。
CBNはCBD・THCと並んでカンナビノイドの三大主成分の一つに含まれています。 CBDは、麻(大麻草)の茎や種子から抽出される成分に対してCBNは、酸化したTHCが分解され生まれる副産物です。 CBNは、CBDやTHCと比べて抽出できる量が少ないため、その希少性から『レアカンナビノイド』とも呼ばれています。
CBNもCBDと同様に違法ではありません。
CBNの効果
他の成分の効果を高めてくれる
CBNには、他のカンナビノイドとの相互作用があり、他の成分の効果を高めてくれる効果があります。
そのため、単体で使うのではなく他の成分と組み合わせて使用することが多い成分です。また、CBNはTHCから抽出されるのですが、THCのような精神作用をおこすことはなく安心して使用することができます。
また、カンナビノイドの中で最も『テルペン(terpene)』との相性が良いとされているので、より高いアントラ―ジュ効果(相乗効果)が期待できます。
皮膚などの疾患に期待できる
CBNにはTHCの10分の1程度の精神作用があり、CBDと比べて特に鎮静作用や睡眠補助といった働きが強いと言われています。そのため鎮痛、皮膚炎など皮膚などの疾患に期待されている成分です。
CBNの注意点
CBNはCBDと比べて眠気を誘発する可能性が高いため、車の運転や外出先での使用には充分に注意しましょう。CBNは、就寝前やリラックスタイムに摂取するのが最もおすすめです。
CBNの治療効果
抗不眠薬
CBNは主に、強力な睡眠補助効果のある成分として評価されています。
Matthew Elmes博士の研究によると、5mgのCBNは、有名な医薬品であるジアゼパム10mgと同等の鎮静効果があるということです
痛みの緩和
睡眠を助ける効果に加え、最近では鎮痛薬としてのCBNの可能性も指摘されています。
CBNは、CBDやTHCとは異なる作用メカニズムを持ちます。
CBNは、CB1受容体を部分的に活性化させる物質(パーシャル・アゴニスト)と考えられています。
つまり、受容体に直接結合しますが、完全に活性化させる物質(フル・アゴニスト)に比べて、はるかに弱い効果しか与えません。
実際、CBNはTHCの約10%の活性しか示さないことがわかっています。
CBNは、CB1やCB2受容体を介して痛みを和らげるのではなく、感覚神経からペプチドを放出させて、CB1やCB2とは別の神経メカニズムを活性化することで痛みを和らげます。
▶︎ Δ9-テトラヒドロカンナビノールおよびカンナビノールは、CB1およびCB2カンナビノイド受容体に依存しないメカニズムでカプサイシンに感受性のある感覚神経を活性化する(JNeurosci :英文)
抗菌作用
CBNは、抗菌作用のあるカンナビノイドの1つです。
複数の抗生物質耐性菌で実験を行ったところ、CBNが高い効果を示しました。
将来、CBNは、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)を減少させるための有力な選択肢となる可能性があります。
▶︎ Cannabis sativa由来の抗菌性カンナビノイド:構造活性相関研究(Journal of Natural Products:英文)
抗炎症作用
CBNは、CBDやTHCのように、抗炎症目的で広く使用されているわけではありませんが、炎症性疾患の治療において、これらと同様の能力を持っている可能性があります。
例えば、2009年の研究では、CBNがアレルギー性ぜん息などの炎症性疾患の治療効果があると期待されています。
また、CBNは、眼圧を高める原因となる炎症を抑えることで、緑内障を治療できる可能性があることも明らかになっています。
▶︎ 新規抗炎症薬としてのカンナビノイド(Future Medicinal Chemistry:英文)
抗けいれん薬
1970年代に行われた研究では、CBNはけいれん性疾患に対する有効な治療法であるとされています。
CBDやTHCと同様に、CBNには発作やてんかんの症状を抑える効果があります。
ただし、CBNの抗けいれん作用は、単独ではなく、CBDやTHCとの併用で効果を発揮する可能性があることに、患者は留意する必要があります。
▶︎ マウスにおけるカンナビノイドの抗痙攣作用。薬剤(Springer.:英文)
骨細胞の成長促進剤
CBNは、鎮痛作用、抗炎症作用、食欲増進作用など、カンナビノイドの薬効を十分に発揮します。
さらに、CBNは骨髄細胞の成長を促す可能性もあります。
幹細胞を集めて調整することで、CBNは骨組織を作り、骨折を治すのに有効なカンナビノイドになるかもしれません。
▶︎ カンナビノイドは、CB2受容体を介して間接的に骨髄細胞による線維芽細胞のコロニー形成を刺激する(Calcified Tissue International:英文)
食欲増進剤
CBNは食欲増進剤としても効果がある可能性があります。
2012年の研究では、ラットにCBNを投与すると、摂食量と摂食時間の両方が大幅に増加しました。
これらの知見は、食欲増進効果をもつTHCの代わりに、酩酊作用のないCBNを活用できる可能性を示しています。
▶︎ カンナビノールとカンナビジオールがラットの摂食パターンに相反する作用を及ぼすことについて(Psychopharmacology:英文)
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CBNの歴史
ベテランのユーザーは、大麻から分離された最初のカンナビノイドがCBNであることを知ったら、驚くかもしれません。
CBNは、1896年にトーマス・バーロウ・ウッド氏、WT・ニュートン・スパイビー氏、トーマス・ヒル・イースターフィールド氏の3人によって 、大麻の赤いオイルから分離されました。
その後、1932年にR.S.カーン氏がCBNの化学構造を解明し、1940年に英国のトッド卿と米国のアダムス博士の2つの研究グループがCBNの化学合成に成功して、CBNが正式に発見されました。
1940年にCBNが発見されて以来、20年以上にわたって、CBNが、大麻の主な精神活性化物質であると考えられていました。
その後、1964年にイスラエルの研究者、イェチエル・ガオーニ氏とラファエル・メコーラム氏がTHCの単離に成功し、大麻の精神活性作用の多くはTHCによるものであることを発見しました。
この発見によって研究が進み、CBNはTHCが酸化して分解した成分であるが、THCのような酩酊作用はないことが明らかになりました。
CBNの鎮静効果を完全に把握するには、さらなる研究が必要です。
テルペン類の経時的変化が、THCの分解と同じか、それ以上に、熟成した大麻の鎮静効果に影響を与えているという説もあります。
「CBN」と表示されている商品は、CBNアイソレートではなく、CBNに加えて、THCやテルペン類、その他の鎮静作用を持つ大麻由来化合物などが含まれています。
CBNの具体的な薬効を知るには、単離された化合物として研究するしかありません。
1976年に行われた研究では、CBNの単独投与とTHCとの併用による鎮静効果を調べました。
研究者たちは、CBNは単独では「不活性」なカンナビノイドであり、人に投与しても鎮静作用はないことを見出しました。
興味深いことに、CBNとTHCを併用すると、THC単独の場合に比べてより大きな鎮静効果が得られました。
つまり、カンナビノイドそのものではなく、これらの異なる化合物の組み合わせによって鎮静効果が得られる可能性があるのです。
▶︎ カンナビノール パートI(Journal of the Chemical Society:英文)
▶︎ 大麻インディカの樹脂。パートIII。カンナビノールの構成要素(Journal of the Chemical Society:英文)
▶︎ カンナビノイドの薬理学:最初の66年間(Br J Pharmacol:英文)
▶︎ ヒトにおけるdelta9-tetrahydrocannabinolおよびcannabinolの効果(Pharmacology:英文)
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